
つくることと生きることの交差点をつくる / TSG Creative-LAB. 3期 DAY1 ラボ合同キックオフ
2026年1月18日、有楽町のTokyo Innovation Base(TiB)にて、Creative-LAB.3期のLAB. 合同キックオフを実施しました。Creative-LAB.とは、NPO法人ETIC.とASIBAが、Tokyo Startup Gateway(TSG) と連携して運営する、2ヶ月間の探求・実践型プログラムです。
さっそく手を動かしてみる
テーマは、「つくることは生きること」。
単にスキルを学ぶ場ではなく、自分がどう生きていきたいかという問いを起点に、手を動かし始める。そんな2ヶ月間の土台をつくる一日となりました。
爆速の自己紹介「WANKOSOBA」からスタート
最初に行われたのは、60秒の自己紹介「WANKOSOBA」。
3〜4人の班に分かれ、名前、所属、これまでやってきたこと、そしてこの2ヶ月でやってみたいことを順番に話していきました。
綺麗な履歴書には載らない「歩み」を共有する
特に盛り上がったのは、事前に準備してきた「LIFE GRAPH」と「MY COMPASS」の共有時間でした。これまでのターニングポイントを5つ以上書き出し、当時の葛藤や立ち直ったきっかけを振り返ります。
ワーク中のテーブルを見てみると、紙の上には、綺麗な履歴書には載らないような、その人だけのデコボコした道のりが可視化されていました。
その後、書き出したそれぞれの歩みを共有する際には、相手の話に深く頷いたり、「わかる、自分もそうかも」と笑い声が上がったりし、 会場の空気がほぐれていくのが分かりました。
日常で、これほど丁寧に自分の人生を振り返ったり、他人の人生を聞く機会は多くないのではないでしょうか。書くことで、自分の過去と現在のつながりを再認識し、聞くことで、誰かの転機や迷いが自分と重なったことだと思います。
ちなみに、こうした内省と共有を往復するプロセスは、正解のない問いに対して、制作と対話を繰り返すデザインや建築のスタジオ型教育にも通じる実践となっています。


後半は、3月15日に予定されている公開展示形式のプロジェクトフェアを見据えた「GOAL SKETCH」を描いていきました。
最終的に、どんな形で社会にひらくのか。
展示なのか、体験型の企画なのか、販売なのか、パフォーマンスなのか。
まだ具体的でなくてもいいので、今思い描ける範囲で、できるだけアウトプットしてみてもらいました。まだ粗い段階で形にするという点では、プロトタイピング的な思考に近い取り組みでもあります。

描いたスケッチは、ボードに張り出し、サイレントギャラリーという方法で、他の人のスケッチを見て周り、コメントを付箋で貼っていきました。
皆、熱心にスケッチを観たり、もらったコメントを読み込んだりしている様子が印象的でした。
このワークには、正解があるわけではありません。ただ、今の自分の輪郭を可視化することが狙いとしてありました。

プログラムの最後に、3Dデジタルコラボレーションツールの「MEs(ミーズ)」の紹介もありました。
ここでは簡単に、MEs内に用意されたプラットフォームに画像を配置する方法を学び、宿題として、自分の影響を受けてきたものなどを画像で配置するというものが出されました。
MEsを本格的に使ったワークの様子は、次回のnoteでお届けします。
※MEsについては以下の記事をご覧ください。
https://note.com/o_mes/n/n8b9de36b4a44
つくることと生きることの交差点をつくる理由
これらのワークの設計について、冒頭で二瓶が次のように語っていました。
つくる世界と生きる世界みたいな乖離を僕はすごく感じていて、ここがうまく交差するような場になったらいいなと思って今回プログラムを作っています。
「つくる」という行為は、いつのまにか自分の内側だけの営みになってしまうことがあります。誰にも見せないまま、完璧になるまで出さないまま、心の中やアトリエの中に留まってしまう。
一方で、社会に向けた活動や仕事が、自分の表現とつながらないまま進んでいくこともあります。求められる役割や成果を優先するあまり、「自分はなぜこれをやっているのか」という感覚が薄れていく。
どちらも、特別なことではありません。今回、参加者には、LIFE GRAPHで個人の「生きる」を共有し、GOAL SKETCHで「つくる」を考えてもらいました。この「生きる」と「つくる」を他者と共有しながら往復するとき交差点このラボが目指す交差点が立ち現れるのだと感じました。
このように、Creative-LAB.はつくることと生きることが、すれ違ったまま通り過ぎてしまう状態と向き合い、それら二つの世界あるいは道が交差する場所であろうとしています。
新しいメディウムで、少しずらしてみる
この日、示された一つ目の方向は、「自分の世界観を、新しいメディウムで表現してみる」ということでした。これまで慣れ親しんできた形式を、あえて一度手放してみる。例えば、
- 絵画を描いてきた人がワークショップという形に挑戦する
- アプリとして構築してきたものを、展示という空間で再構成してみる
- 文章を書いてきた人が、対話の場を設計してみる
といったように、メディウムを変えてみることで、これまで見えなかった要素や、自分でも気づいていなかった価値が浮かび上がることがあります。
それはアートやデザインに限らず、思考が固定化しがちなあらゆる分野に通じる実践でもあります。
社会に届けるということ
二つ目の方向は、それを社会に届け、反応を受け取ること。これは、何も評価を受けることだけが目的ではありません。
誰かが立ち止まり、話を聞いてくる。質問を投げかけてくれる。想定していなかった視点が返ってくる。そうしたやりとりの中で、自分の考えが少し揺れたり、次に試してみたいことが見えてきたりします。
つくることが、生きることとつながっていく瞬間は、そうした小さな往復の中にあるのかもしれません。

途中のものが出会う場所
Creative-LAB.は、完成品を披露する場ではありません。むしろ、まだ途中のものが出会う場所です。
まだ言葉にしきれていないアイデアや、まだぼんやりした企画、手放したくない感覚。そうしたものを、少しだけ外に置いてみる。
それを見た誰かが、別の角度から光を当てる。そのやりとりの中で、次の一歩が見えてくる。
交差点とは、完成したもの同士がぶつかる場所ではなく、途中のもの同士がすれ違い、混ざり合う場所です。
そこは、ただ通過することもできる場所ですが、意識して立ち止まれば、これまで見えていなかった別の道の存在に気づくこともできる場所でもあります。
筆者自身、これまでさまざまな場を見てきました。
多くの場合、人はまず「ちゃんとした人」であろうとしてしまいます。
肩書きや実績、自分は何者であるかをはっきりさせようとする。それはまるで、これまでどれだけのスポットに辿り着いたか、目的地はどこかを言えなければ価値がないといったような思い込み。「何者かであること」を証明しなければ、という焦りのようなものかもしれません。
それ自体は自然なことですが、Creative-LAB.という交差点は、過程そのものを共有することで、途中の自分、ありのままの自分を一旦受け入れ、周りにも受け入れてもらうことができる場になっていたと思います。

最後に
3月15日には、最終発表のプロジェクトフェアが予定されています。それぞれが、2ヶ月のあいだに取り組んできたことを、社会に届ける日です。
どんな形のものが発表されるかは、まだ誰にもわかりません。けれど、まだ形になっていないもの、まだ言葉になっていないものがあってもいいのです。ここは、完成された正解を持ち寄る場所ではなく、まだ言葉にならない試行錯誤をそのまま放り出せる場所だからです。
まずは、まだ形にならないアイデアを世界に放り出してみる。そんな2ヶ月が始まります。
今後の活動の様子も、引き続きnoteでお届けしていきます。 ぜひ次回の更新も楽しみにしていてください。
Creative-LAB. 合同キックオフ
Creative-LAB.は、建築・デザイン・アートなどのクリエイティブ領域に関心を持つ若者/学生(15〜25歳前後を対象)に向けた、実験的な学びの機会と対話の場を提供しています。「自分の中にある”つくるため”の問いに向き合いながら、自らの”生き方”を重ねていく」ことを目標にし、若手クリエイターによるメンタリング機会や、思考の幅を広げ、問いを磨くためのワークショップ、自ら問いを持ち実践をする若手クリエイターによる連続レクチャーを2ヶ月間限定で提供するコミュニティです。
詳細:
日時:1/18(日)13:30-17:30
会場:Tokyo Innovation Base(TiB)
実施方法:対面開催
主催:Creative-LAB.(TSGコミュニティ)
Related Articles
プログラムレポート
DAY7 PROJECTS FAIR / TSG Creative-LAB.|ASIBA
プログラムレポート
DAY6 + Open TALK #4 「つくること」と「生きること」の重ね方とは? / TSG Creative-LAB.|ASIBA
プログラムレポート
DAY5 + Open TALK3 日常/非日常の往復と、クリエイションの視座 / TSG Creative-LAB.|ASIBA

プログラムレポート
DAY7 PROJECTS FAIR / TSG Creative-LAB.|ASIBA

プログラムレポート
DAY6 + Open TALK #4 「つくること」と「生きること」の重ね方とは? / TSG Creative-LAB.|ASIBA

プログラムレポート